2020年1月14日火曜日

かけある記 あけましておめでとうございます。(2020年1月1日)

 異郷の地で9度目の新年をむかえました。
 あの時、みんな無我夢中でした。そして今を精いっぱい生きています。

 今年も町・県・国は「復興のあり方」が厳しく問われる年になるでしょう。
 国・県は復興・再生の目玉として「イノベーション・コースト構想」=技術革新産業に、2300億円もの予算を投じて推進。浪江町の『世界最大規模の水素製造拠点事業』(約150億円)もその一つです。又、100億円超の復興事業予算を投入し、町内4カ所に広大な「工業団地造成」が進められています。しかし、昨年7〜8月に県が実施した世論調査では、83.3%の県民が「イノベーション構想」を「知らない」と答えています。

ではどうあるべきなのでしょうか。
 一つは、地域や新規参入など中小企業・産業・雇用・家族農業への直接支援を。
 二つは、安心できる医療や介護体制の整備、放射能汚染と健康への対策、住み替えの緩和と住宅確保など、町民の帰還環境整備に国・県・町は大胆な支援を強めること。
 三つは、復興・再生の基本は「人々の生活」であり、「安全と安心」です。

 町民の93.6%がいまだに避難中であり、町民の命綱である「医療費・介護無料の継続」や、高速道路の無料継続、解体跡地への課税強化軽減措置など、何よりも「町民の命と暮らしを守る」ことではないでしょうか。
 浪江町は避難解除(帰還困難区域を除く)からまもなく3年、昨年11月末の帰町者は1154人、751世帯です。
 原発事故の犠牲はもうたくさんです。国・東電の責任は重大です。人々の人権と故郷の「文化」をご一緒に守りましょう。
2020年元旦 浪江町会議員 馬場 績


被災者の「命綱」切るのか!被災者の願い、継続を!

政府:医療・介護減免見直しか


原子力災害被災地域の基本方針に明記
 12月19日、政府は全閣僚が参加する復興推進会議を開催、「復興の基本方針(案)」を決定しました。それによれば復興創生期間後の基本方針として「原子力災害被災地域」の分野には「医療・介護保険料・窓口負担の適切な見直し」とあります。

馬場議員の談話
 長期避難による町民の健康悪化が増加している。町の介護保険料も全国市町村で5番目に高い。賠償打ち切りで生活が困窮し、生活保護受給者が64件にも増え、生活のために夜9時まで働くなど、必死に頑張っています。今の医療・介護の減免は町民の命綱です。打ち切りなどとんでもありません。絶対継続すべきです。減免継続のためにともに頑張りましょう。

2019年11月29日金曜日

かけある記 町内住宅被害22世帯、町外の住宅被害は103件(2019年11月24日)

台風・豪雨被害に町独自の見舞金支給

11月19日の全員協議会で町が報告


台風19号から1カ月が過ぎました。その後の豪雨被害にあうなど二重三重の被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
佐藤副長長は議会全員協議会の冒頭、現在把握している被害状況と町の対応について報告。「災害見舞金を含む他の予算1億3千500万円の専決処分をした」と報告がありました。

【浪江町内の住宅被害・計22世帯】
  • 半壊:7世帯(北順礼河原1、上川原1、ほか樋渡など5世帯)
  • 一部損壊:3世帯(権現堂広町1、牛渡字竹ノ花2世帯)
  • 床上浸水:12世帯(権現堂7、川添二又川原1、牛渡4、北幾世橋字荒井前1)。
【福島県内の住宅等(車両も含む)・88件】
  • いわき市で56、福島市2、二本松1、本宮7、須賀川1、相馬市14件。
【県外避難先の住宅等(車両含む)・15件】
  • 埼玉県2、茨城県3、群馬県1、長野県1、宮城県2件。

災害見舞金の範囲(※罹災証明必須)

◆浪江町の見舞金支給に関する規定(平成元年8月14日)
  1. 住宅が全壊または半壊した世帯(1世帯あたり30万円)
  2. 床上浸水した世帯(1世帯あたり5万5千円)
全員協議会では農地・農作物被害に対する補償・見舞金や、床上1メートル未満や床下浸水が対象外になることなど、制度の矛盾や要望など多数の意見が出されました。


赤宇木(浪江町)の「田植え踊り」

避難先で披露・各地から参加、映像記録

11月17日、二本松男女共生センターには、伝統芸能「赤宇木の田植え踊り」の衣装に身を包んだ一団が勢ぞろいした。原発避難後、9年目にして発表できる興奮と喜びが伝わってくる。
「津島の田植え踊り」は南津島、上津島、下津島、赤宇木の4地区に伝わり、豊作を願って踊り伝えられてきた伝統芸能(福島県重要無形民俗文化財・国選択無形民俗文化財指定)です。

「残しておきたい」、小学2年の男子も踊る

ササラ役を見事に務めた小学2年の息子と早乙女のお父さん。観客席にはその祖母が。感慨無量でした。

2019年10月22日火曜日

かけある記 台風19号あれから1週間、被害甚大。(2019年10月19日)

台風19号被災の皆様に心よりお見舞い申し上げます。



営業再開の佐々木さん(浪江)、本宮で被害


甚大な被害を出した台風19号。阿武隈川と安達太良川の堤防決壊で本宮市内中心部に深刻な被害をもたらしました。

浪江町から避難し、本宮市で再会していた(有)ササキボディーの佐々木さんも被害を受けた一人です。私は19日、浸水被害を受けた佐々木さんの自宅・工場の被害現場を訪問。被害の状況などを聞き取りしてきました。

佐々木さんは原発避難後、一時、白河市で営業を再開。その後6年前に現在地(本宮市舘)に移転・再開しました。被害の状況を話してくれた奥さんは「本宮にもなじみのお客さんができてきた矢先に…」と突然の被害に呆然とするばかりです。

「台風が来た12日は浪江が心配なので社長と二人で浪江に行っていた。朝早く部長から電話があり本宮に戻った」「すぐそばを流れている安達太良川は『8.5水害(1986年)』を受けてその後、築堤されたので、ここは大丈夫だと聞いていたのに…」と被害の大きさに言葉を飲み込みます。

畳も床も引きはがされた自宅は屋根下(約2メートル以上)まで浸水し、白い壁には濁流の跡が残っています。車検の車は約20台、会社の新車のユニーク車もスッポリ水につかり、車体には泥がついたまま。修理工場の機器も使えるか不明です。「これからどうするか、今のところ何も考えられません」と話していました。

まず、罹災証明を


県内、圏外に非難されている浪江町民も各地で大きな被害にあわれた方がいると思います。罹災証明は避難先の自治体で、税の減免や、災害復旧に関わる諸制度を活用する場合に必要となる証明です。

郡山で被害にあわれた方から相談があり、写真など絵を持参し証明証の発行を受けるようお伝えしました。諸制度の活用についてもご相談ください。



2019年4月24日水曜日

かけある記 辞任は当然・かばう安倍さんも同罪(2019年4月5日)

「私は忖度しました」発言は政治の腐敗


今朝、塚田国交副大臣が「辞任の意向」と速報が流れました。当然です。

「安倍・麻生道路」とも揶揄される道路計画を「忖度」して国直轄調査事業に格上げしたことを、事業を所轄する国交副大臣があけすけに認めたものです。

「森友・加計問題」も財務省や国交省の忖度があったことは誰もが見抜いている。今回は本人が聴衆に舞台裏を「公表」したのです。

しかし安倍首相は「職責を果たしてもらう」とこれを擁護。忖度=利益誘導=政治の私物化であり、腐敗政治そのものです。今さら「事実と異なる」など恥を知れと言いたい。


追い詰めた共産・参院仁比質問



4月4日の「羽鳥モーニングショー」でも仁比質問を詳しく放送していましたが、安倍総理の名前を筆頭に「下北九州道路」の早期整備を国交省に要請。やることなすこと異常だらけ。「知らなかった」で済まされる話ではありません。

「忖度と、命名したい、安倍御世」4月5日の朝日川柳です。今いっせい地方選真っ最中、夏の参院選で国民置き去り、おごれる安倍政治に今度こそサヨナラを。



浪江町の新年度予算

●泉田川ふ化施設整備事業=41,823千円
ふ化施設を復旧し、ふ化・放流を目指す。

●町内飲食店食材調達支援事業=24,000千円
町内で飲食店が町内事業者から食材を購入した場合、仕入れの2割、月10万円を上限に補助する。

●町内夜間交通事業者補助=6,000千円
町内の夜間移動の交通を確保するための移動交通サービスを行う協力事業者(一事業者年間200万限度)に補助する。

●農業法人誘致事業=2,000千円
町外の農業法人が浪江町で農地取得する場合1,000万まで補助する。



第一原発事故処理費用 事故処理に最大81兆円










〈日本経済研究センター(2019年)試算〉=福島民報3/23付



東電が4億円寄付?賠償の責任果たせ!


戻れない人がいまだに10万人もいます。原発避難者の苦悩は生きている限り、いや、子孫の代まで続くでしょう。

ところが青森県東通村に2億〜4億円の寄付をするという。「和解案の尊重」といいながら被災者にはアカンベーをする。そんな企業に未来があるはずがない。

政府は傍観している。同じ穴のムジナとは、けだし名言。勝つまで闘うしかない。

かけある記 東電交渉 被害・損害を償う賠償せよ(2019年3月29日)

真摯な謝罪と賠償・原発ゼロを


神奈川(2/20)千葉(3/14)、愛媛(3/26)の判決報告

3月28日、原発被害者訴訟原告団全国連絡会、弁護団、全国支援ネットが主催して衆議院第1議員会館で報告集会が開かれ、約250名が参加しました。

県内からは生業訴訟、いわき避難者訴訟原告・支援団体とともに、津島原告団からも4名参加しました。


東電補償相談室中央Gに要請・交渉
中間指針は上限ではない、追加賠償せよ


午後3時から行われた東電交渉には原告団など3団体から36名、津島原告団からは今野団長と私が参加しました。真摯な謝罪とADRなど追加賠償を求め交渉が行われました。

要請団:これまでの判決は中間指針を上回っている。追加賠償に応じるべき。

東 電:ADR和解案など「3つの約束」を守る。

要請団:「和解案を尊重する」といいながら拒否している。やっていることがまるで違う。

東 電:8割以上応じている。

要請団:(ここで数字を明らかにするように求める)

東 電:23,497件のうち、18,983件が和解している。※拒否は121件=福島民報2/26(※=馬場)

要請団:数件であって数人ではない。打ち切りの人数を示せ。(※主な集団申し立ての若い拒否は浪江15,700人、渡利地区3107人、川俣小綱木566人など)

東 電:回答なし。

要請団:「和解案尊重」と言いながら拒否する理由は何か。

東 電:・・・(答弁不能)

要請団:加害者責任を果たせ。


経産大臣からの指導にどう応えるのか


要請団:経済産業大臣から東電に改善指導があったはず、大臣にどう回答するのか。(岩渕友参院議員は3月8日の参議院予算委で「直ちに改善指導を」と追及)

東 電:3月19日、小早川社長に対し世耕大臣から「和解尊重は当然の責務」と改善の指導があった。

要請団:和解案を尊重するのか。私は帰還困難区域で帰れない。今避難者の生活がどうなっているか把握すべき。

東 電:どうするか検討する。因果関係を調査する。

要請団:今更因果関係とは何か。発言を取り消せ。

東 電:撤回します。

要請団:要請団として次の点について回答を求める。①今日の意見を踏まえ、和解案を尊重すること。司法判断も出ている。賠償基準の見直しについて、何を、どう検討するのか明示すること。②今後、我々の要請に責任ある役員が出席すること。③4月19日まで文書で回答すること。

東 電:必ず回答する。



再開事業者の状況


♦︎商工会員のみデータ・3月26日町産振課調べ

県 内  202件
福島市  40
南相馬市 50
いわき市 30
郡山市  26
二本松市 20
本宮市  8
相馬市  5

県 外  28件
東京都  6
茨城県  5
宮城県  5
栃木県  3
山形県  2
千葉県  2
新潟県  2




2019年4月23日火曜日

かけある記 復興に冷や水、消費税増税中止を!(2019年3月22日)

10%に引き上げれば町民負担一世帯8万円もの負担になります〈3月議会一般質問〉


「今増税すべきでない」ーー日本共産党の増税中止の理由


  • 2014年4月の消費税引き上げ以来、家計羊皮が回復していないこと
  • 国内総生産(GDP)は消費、設備投資、輸出、公共投資全てが下落していること
  • EU離脱の混乱や中国経済の後退への懸念
  • 実質賃金は上がっていない、すなわち経済に力がないこと
  • 買うもの、買う場所、支払いが現金かカードかで、3%、5%、6%、8%、10%の5段階になるなど制度が大混乱することです。

浪江町の世帯6,916で計算すれば5億5300万円もの負担になります。

馬場:復興に冷や水、町長は消費税増税中止を求めるか。
町長:社会保障財源確保のために必要と考える。


消費税以外に財源はあります、不公平税制の是正を

  • 所得税・住民税の最高税率を元に戻す→1.9兆円
  • 大企業優遇税制の見直し→4.0兆円
  • 法人税率を安倍政権前に戻す→2.0兆円
  • 大型公共事業・軍事費・原発推進の見直し→3.0兆円
  • その他不公平税制の見直し→4.9兆円など
  • 合計17兆円可能

3.10原発ゼロ新潟中央集会へ


世界最大規模の原発が立地する新潟県。「柏崎刈羽原発再稼働反対」と「原発ゼロ」の願いは切実です。

3月10日、原発をなくす新潟県連絡会が主催する集会があり、「原発事故の現在ーー浪江町の今」を報告してきました。

当日は新潟県連絡会の代表委員でもある関根征士先生(新大名誉教授)が「原発再稼働などありえない」と題して講演されました。

私は冒頭、「原子力が好きだ、嫌いだという議論はやめてほしい」(3月10日福島民報1面)この中西経団連会長の発言は、「原発を感情論いすり替え、被災者と国民を分断するもの」と強調。

「原発事故は、戻れない浪江の現実が証明している。原発ゼロは自然と人類に対する責任である。勝利するまで闘い続けよう」とうったえました。


卒業の季節…

梅もサンシュウも水仙も咲きほころんでいる。まもなく桜の季節。今日は津島小学校の卒業式と浪江小学校の修了式が二本松市川崎で行われました。

様々な障害を乗り越え、弟と福島から通学したS君。卒業おめでとう。新学期は津島小1名、浪小1名だけになる。頑張ってね!


今日、浪江中学校は閉校式

針道校舎は平成23年8月25日に開校。今年は3名の卒業生を送り出し、在校生1名はなみえ創成中に転校。今日、閉校式を迎えた。4月からなみえ創成小に14人、創成中には2名が進学する。


かけある記 固定資産税・町民税課税なぜ!(2019年3月17日)

3月議会で反対押し切る


これまで減免してきた固定資産税や町民税を、4月から減免見直しをする条例改正が反対を押し切り、賛成討論なしで可決強行されました。(反対5名、賛成10名)

95%の町民が戻れないのに、なぜ今課税強化なのか、町も議会も「復興のあるべき姿」を厳しく問われることになるでしょう。


仮置場にも課税・差し押さえする/町答弁


馬場:除染土の仮置場にも課税するのか。
課長:耕作の有無に関係なく課税する。
馬場:滞納差し押さえもあるのか。
課長:丁寧にお願いするが、差し押さえもする。
馬場:95%の町民が戻れない。町民に責任はない。それでも公平課税か。
町長:財政補てんを要望してきたが補てんされない。

紺野則夫議員の反対討論「住民税は年所得400万以下に対象を広げた。住民不在である。固定資産価値の低下は東電が責任を負うべき。生活そのものが容易ではない。復興創生期間が終わるまであと2年間どうするか議論すべき」

賛成討論はありませんでした。

(反対した議員:石井、紺野(則)、佐々木(勇)、松田、馬場)



浪江町新年度予算395億円 超大型の「明と暗」を切る!


子供医療費助成事業=18,656,000円
継続事業で今年は前年比750万円増となっている。県民の強い要望で避難後の24年10月から実施、0歳から18歳までが対象です。〈継続〉

賠償支援事業=17,324,000円
東電はADRの和解案を拒否しましたが、町では引き続き町民の相談窓口を設置。個別の簡易申し立ての請求書作成など支援します。〈継続〉

地域おこし協力隊支援事業=26,962,000円
伝統産業を守るため、全国から担い手を募集、技術の継承を図る〈新規〉



岩渕友参議院議員 浪江のADRで質問


共産党の岩渕友議員は3月8日、参議院予算委員会で原発事故8年目の「被災地の苦しみと怒り、再稼働の不安」を突きつけました。

ADRの和解案を拒否、賠償打ち切りが続出している問題を正面から追及。営業損害賠償ではAさんが桑折町に避難、浪江での営業再開を目指しながらも現状での生鮮食品扱いはできません。

追加賠償を東電に請求しても「休業と本件事故との因果関係は認められませんので請求の支払いはできません」などと回答してきた実態無視の問題を取り上げ「中間指針の見直し」を強く求めました。

世耕経産相は「東電を指導する」と答えるのみでした。



5〜6億円の不足・エッそれでもやるの!?CTL(直工修正版)関連生産拠点建築事業


棚塩産業団地に計画している生産拠点建築事業の予算2本が今議会に提案されました。

しかし整備機械購入や建屋建設などのためには合計55億2千万円が必要とされ、現在5〜6億円の財源確保の見通しがありません(担当課説明)。「そうならないように努力する」というものの「財源手当てができなければ町負担もありうる」と認めています。

馬場議員は「県や国・林野庁とも協議し期間の延長、または復興交付金の追加を求めるべきである」「財源見通しのない公共事業など認められない」と反対しました。

無理な公共事業を強行する一方で町民には「公平のために課税」など認めるわけにはいきません。