横浜地裁が指針超える賠償命令
去る2月20日、かながわ訴訟(原告団長村田弘氏・南相馬市小高区飯崎)で横浜地裁は国と東電の責任を明確に認める判決を出しました。
判決の特徴は二つ
一つは東電自らの巨大津波の予見評価に対する国の規制権限不行使です。
▲東電は大津波を2009年月に予見していた。これは〖貞観地震.869年を考慮すれば、津波高は8.9㍍になるという試算結果を東電が国に報告した時期です。津波が敷地の10㍍を超えて事故に至ることを予見することができた。国は規制権限を行使し、その対策を取らせなかったことによるものと判決。
二つ目は中間指針が不十分であり、それを上回る賠償を認めたことです。
▲国・東電は裁判で『中間指針を超える損害はない』としてきましたが、判決はそれを明確に退けました。例えば帰還困難区域だけが対象とされた「ふるさと喪失慰謝料」について、判決では、避難指示が出されたすべての区域に適用し、区域外避難者の避難慰謝料も認めました。これは原発避難の本質を明確にとらえた判決です。しかし賠償額は指針の枠を大きく超えるものとはなっていないのが残念です。いま、必要なことは打ち切りではなく最後の一人まで支援・救済を続けることです。
〈これまでの判決〉
地 裁 国 東 電
前 橋地裁 ● ●
千 葉 〃 × ●
福 島 〃 ● ●
東 京 〃 ― ●
京 都 〃 ● ●
東 京 〃 ● ●
いわき支部 ― ●
横 浜地裁 ● ●
注:千葉地裁以外は国の責任を認定している。「―」は国を被告とせず。
◆国家の責任の不在
政府は、原発事故を引き起こした国家の責任者として自己の検証・評価を行い、今後再稼働すべきかどうかを決定するという道筋を取るべきであった。それをやらない。無責任体制を象徴している。
◆知事の責務
そこに存在する原発が、起こしかねない原発事故について具体的な検証を行い、無事故でゆけるか見極める作業は欠かせない。そのためには事故原因の検証、福島の人々が直面している生活と健康問題の検証、避難計画の実効性の検証行うことは諸権限を有する県知事の責務といえよう。
◆原子力規制委員会の限界
委員長が「審査結果は新規制基準をクリアしただけであって、安全を保証していない」と言っていることだ。
〈にいがた自治体研究所 編〉
『原発再稼働を問う『三つの検証』の継続を』
私は「原発をなくす新潟県連絡会」からのお誘いもあり、3月にお邪魔することにした。少しは新潟県のことを勉強しておかなければ、と思い、探しているうちに見つかったのが上記の本である。ご存知の通り、米山知事が突然、辞任されたが「3つの検証」はだれが知事になろうとも確実に実行されなければならない」と書かれている。
新潟県の福島原発事故の検証体制は「検証総括委員会」のもとに、「事故原因」、「健康と生活への影響」、「安全な避難方法」に関する3つの検証委員会が設置、検証されている。
冒頭に検証総括委員長としての池内了氏の序章(右に要約)の言葉は、原発(事故)の根本問題ともいうべきものである。堀内福島県知事にも是非一読をお勧めしたいし、福島県こそが新潟県に先んじて3つの検証が求められている。