2017年8月29日火曜日

かけある記 「仮設住宅追い出し、困ります」 復興住宅5度目で当選、完成・入居は年明けなのに・・・(2016年8月27日)

桑折仮設住宅に住むSさんから24日に電話がありました。出先から戻ってすぐ現地まで車を飛ばし、お話を聞いてきました。

『今日1時半から浪江町の説明会がありました。呼び出されたのはいわき市の復興住宅に同じく当選した方と二人だけでした。桑折町で仮設敷地内の造成計画があるのでここを10月中頃まで引っ越してほしい』と言われたとのこと。

雨の降る夕方、じっとりと汗がでる仮設住宅で『福島の笹谷仮設住宅に引っ越せといわれても…約束通り、なぜ来年3月までここにいられないのか。5度目の申し込みでやっと当選したのに。復興住宅の完成は早くて年明けになると県からいわれました。工事が遅れ、引っ越しできないのは私らの責任なのでしょうか。』と苦しそうに話されました。


『桑折町の都合も分かるけど、私らの都合はなぜ聞いてもらいないのか。町長にも頑張ってほしい。避難先の仮設住宅から追い出されるなど、悪魔の話のようだ。ようやく復興住宅が当たったというのに…』

一言一言がもっともな話です。「希望が叶うよう、私もできる限り頑張ります」と答え、帰路につきました。


東電、汚染水の海洋放出と『ゼロ回答』


8月26日の福島民報は『汚染水処分「ゼロ回答」』の見出しで原子力規制委員会に対する「東電の基本的な考え方」の回答を報じた。すでに百万トンを超す汚染水について「(汚染)処理水をどう取り扱うのか、放射性廃棄物をどう処分するのかなどの課題があると認識している」、というのが東電の回答である。具体的な内容がなく『ゼロ回答』と報じられたのである。

背景にある二つのことを通じて東電の本音と無責任を指摘しなければならない。

一つは東電の川村会長が「(海洋放出の)判断はもうしている」と明言(7月13日)したことがある。県民世論の厳しい反発にあい、発言を「撤回」したものの、今回の回答も海洋放出のスキを窺っている。

二つは「福島第二原発や柏崎刈羽原発の今後についてもしっかり検討・判断していく」と回答。あくまで再稼働の意志を強くにじませている。

私は言いたい。福島原発事故のこの6年5カ月は何であったのか、と。東電の経営が優位にあるとでも思っているのだろうか。県民・被災者の生業再建と人権こそが優位である。安倍政治と東電に私たちが「ゼロ回答」を示す時ではないでしょうか。

2017年8月7日月曜日

かけある記 ヒグラシと古墳の森(2017年8月5日)

「盛夏」の候なのに、ここ数日は夏も終わりかと思わせるような涼しい日が続いた。今日はようやく夏の陽気が戻ってきた。カナカナカナ...静かな夕餉のころ、近くのこんもりした林からヒグラシの鳴き声が響いてきた。カナカナカナ...天皇檀古墳の森からである。

私の住む大玉村大山は道路一本で本宮市と接している。自宅から西方、そう…約30メートルほどでしょうか。すぐ近くに天皇檀古墳(福島県指定史跡)がある。正面の案内板には「墳丘上に牛頭(ごず)天皇をまつっていたので天皇檀古墳と呼ばれている」と書かれている。発掘された多数の埴輪などから5世紀後半頃の築造と推定される、ともある。古墳一帯はAさんの屋敷内にあり、古墳の前にはビニールハウスも建っている。

静寂の森にしみこむようにカナカナカナ...と鳴き続けるヒグラシの声。悠久の時をつなぐ声なのかも知れない。それにしても静かな風景である。7年目の我が家の雑木林でも、ヒグラシが静寂を支配しているだろうか。


国道114号線自由交通と津島地区住民の不自由ーー帰還困難区域の新たな規制・負担・不便は大問題

 原発避難は異質な災害である。人間はそもそも自由を求めて戦い続けてきた歴史がある。原発事故は差別と分断と抑圧の最前線、即ち市民的自由と基本的人権を守る戦いであるといわなければならない。

 原発事故の幕引きを図りたい「アベ政治」は、国民と県民、県民や地域住民の間に様々な分断を持ち込んできた。例えば20ミリシーベルト安全論による早期の避難解除と賠償打ち切り。放射線線量基準による原発避難の区域再編も、根本は分断である。

 今、早期の避難解除や「復興加速」の旗振りのもとで新たな分断と不自由、規制が持ち込まれようとしている。それが帰還困難区域である津島地区を縦断する国道114号線の「自由交通」である。馬場町長は「(秋の)彼岸ころまでには通れるようにしたい」と早々に記者に応えていた。

 その後、8月3日に臨時議会を開催。津島地区内のみ114号沿線に無人バリケード15ケ所、枝線封鎖用バリケード10ケ所、防犯カメラ設置の計画と説明。その他19200万円の町補正予算が議決された。現在の水境と室原にある有人監視システムは廃止される。

町は約束通り住民説明会を開くべきである

 馬場議員は「防犯対策は当然であるが711日の区長会で宮口副町長らが約束した通り、住民説明会を開催すべきである」こと、「津島地区沿線は今なお線量が高い。114号線沿線の除染を先行すべきである」「高線量のまま、一般市民の自由通行を認めることは多数の被ばく者をつくることになる。

 自由通行の一方で、津島地区内が新たに20個所以上も封鎖され、住民立ち入りの際にはその都度ゲートの開放を求めなければならなくなる。新たな規制強化と差別であり、認めることはできない」と指摘。現状での自由通行を認める補正予算に反対の態度を取りました。

2017年8月2日水曜日

かけある記 福島・宮城・岩手被災3県 共産党の政府交渉に参加(2017年7月29日)

 7月27日、共産党高橋千鶴子衆議院議員、岩渕友・紙智子参議院議員が同席して内閣府など9省庁・102項目要望、23名が政府交渉に参加。福島県からは神山県議団長、衆議院予定候補4名とともに私も参加してきました。 

交付税の特例継続と税金の減免継続を

総務省では交付税算定は引き続き減額なしの交付を継続すること、各種税金減免継続の財源保障を行うことを求め、私は浪江町の実態を話し、強く要望しました。総務省の交付税算定では「(被災前の)住基人口による特例交付を引き続き検討する」(自治財務局)、税の減免措置については「一年単位でやる。平成32年までは(この方式で)やる」、「地方税法の規定に基き、条例で定めることが出来る、旨を通知した」(自治税務局)と答えました。

仮設住宅·借り上げ住宅の入居期間の延長を

内閣府では「避難指示が解除されても帰還できない人が多数いる。仮設・借り上げ住宅に2275戸、4194人もいる。(浪江町では解除対象15411人のうち6月上旬の帰還は234人、1.5%)継続希望を尊重するよう指導してほしい」と要望。内閣府政策統括官らが「必要に応じて延長する、との県の考えを尊重する」と答えました。
被災者生活再建支援金の拡充では、せめて200万円を増額し500万円にすること、「半壊」「一部損壊」も支給の対象にすることを求めました。「増額は慎重な検討が必要である」、支給対象の判断では「やむを得ず解体の事情があれば全壊になる」と答えました。

コメの全袋検査を要望、農林省回答に紛糾、再交渉

 農林水産物の放射線検査、特にコメの全袋検査継続と財政措置を神山県議団長が要望。農水省の井田政策統括官(穀物課)が「検出されていない地域で全袋検査の継続は、誤った認識を与える」と答弁。全袋検査が「風評被害の要因」であるかのような国の無責任な回答に各県からも怒りの声が続出。私はいまだに土壌汚染検査もやらない国の対応を指摘、「撤回」を求めました。高橋衆議院議員が全体交渉終了後の再交渉を求め、実現。私も再交渉など初めての経験をしました。
 再交渉でも「そもそも原発事故が原因ではないか」「安全・安心の担保であり継続すべき」「農水省は全袋検査をどう認識しているのか」、発言の撤回と全袋検査の継続を求めました。厳しい追及に井田政策統括官は『県において検討されることであり、尊重する』と、訂正しました。

 経済産業省では営業損害、精神的損害賠償の継続、福島第二原発廃炉など10項目を要望してきました。