2017年11月19日日曜日

かけある記 チェルノブイリ報告②(2017年11月19日)

31年後の今も「復興・再生」の途上にある村

ナロージチ村の地域共同体長(首長に当たる人)、レオンチュークさんに聞く

私は「今、最も必要な政策と予算は何か」と尋ねた。「今、必要な予算と支援、政策は農業である」彼の答えである。健康・医療・教育・社会サポート(生活支援)等の予算が昨年より900万グリブナ(日本円で約3600万円)も減額されたため、必要な支援が出来ないでいるという。村の「議会」との関係も国からの予算をめぐり混乱が続いている。法案成立のためにあきらめない。厳しい状況がよくわかる。

再度、「村の復興と変革のためにこれから必要なことは」と尋ねた。「それは村の医療システムづくり・家庭医の常駐・道路に予算が必要ある。大統領もこの件に関しては考えている。外国(アメリカ)からの支援もある」と話してくれた。

最大の課題である土地利用と共同体の許可権限について「国の法律を変えない限りそれはできない。法案は昨年、国会で否決されたがこれからも法案成立のため我々の要望を国に求めてゆく。地域行政(議会)の存続の問題もある」と答えてくれた。

我々が言う「自治権の尊重」である。法案成立のために、彼らは再度立ち上がるという。「あきらめない」。お国柄を考えればその勇気はすごい。

31年後の今も混乱は続き、「復興・再生の途上にある」というのが現実の姿である。果たしてどれだけの住民が戻れるのだろうか。


最後に

チェルノブイリと福島。原発の本質的な危険を世界につきつけたのである。自然を破壊し、地域を消滅させ、人間の尊厳を奪ったという事実は人類史の汚点と言えよう。

総選挙で安倍政権は虚構の多数を得た。改憲発議につき走ろうとしている。許せない。今、福島と沖縄は憲法無視の最前線に追いやられている。

原発ゼロと核なき世界は万人の願いである。彼らはそれを野望というのだろうか。それもよし。抗いつつ野望を手にしなければならない。そして民意の届く国民のための政府を。私たちは避難者であると同時に主権者であるのだから。

私は人間として生きることを決してあきらめない。